「うちみたいな小さい会社に、社労士って本当に必要なんだろうか?」。
もしかしたら、あなたも一度はそう思ったことがあるかもしれませんね。
こんにちは。
社会保険労務士の三浦健太と申します。
横浜で独立開業して10年、社労士として15年以上、中小企業の経営者様や人事担当者様と共に「人」に関する悩みに向き合ってきました。
この記事では、そんな私の経験から見えてきた「中小企業が社労士に相談すべき“本当の理由”」を、現場のリアルな声も交えながらお伝えします。
難しい専門用語は使いません。
たった5分で、あなたの会社の未来を守るヒントがきっと見つかるはずです。
目次
社労士の仕事、誤解していませんか?
「書類屋さん」じゃない!社労士の本来の役割
「杉並区 社労士さんって、社会保険の手続きとか給与計算をしてくれる人でしょ?」。
これは非常によくあるイメージですが、実は社労士の仕事のほんの一部分に過ぎません。
私たちは単なる「書類屋さん」ではないのです。
経営の三大資源と言われる「ヒト・モノ・カネ」のうち、最も重要で、最も複雑な「ヒト」に関する専門家、それが社会保険労務士です。
従業員の採用から退職までのあらゆる場面で、法律や制度の専門知識を活かし、経営者と従業員が共に安心して働ける環境づくりをサポートするのが、私たちの本来の役割なのです。
よくある誤解とその背景
なぜ「書類屋さん」という誤解が生まれるのでしょうか。
それは、社会保険の手続きなどが目に見えやすい業務だからかもしれません。
しかし、その書類一枚の裏側には、労働基準法や年金制度といった複雑な法律が絡み合っています。
この複雑さが、知らず知らずのうちに経営のリスクを生み出す“落とし穴”になることも少なくないのです。
知らないと損する“相談のタイミング”
では、いつ社労士に相談するのがベストなのでしょうか。
答えは「トラブルが起こる前」です。
具体的には、以下のようなタイミングが挙げられます。
- 初めて従業員を雇うとき
- 従業員が10人を超えそうなとき(就業規則の作成義務が発生します)
- 残業時間や休日出勤の管理が曖昧になっているとき
- 従業員から不満の声が聞こえ始めたとき
- 会社のルールをきちんと整備したいと考えたとき
これらは、会社の成長過程で必ず訪れる節目です。
このタイミングで専門家の一声があるかないかで、未来は大きく変わってきます。
中小企業が直面するリアルな労務リスク
見落とされがちな「制度の落とし穴」
「うちは従業員も少ないし、みんな家族みたいなものだから大丈夫」。
そう思っている経営者の方ほど、注意が必要です。
例えば、従業員が10人未満の会社には、就業規則の作成・届出義務がありません。
しかし、ルールがないということは、何か問題が起きたときに判断の基準がないということです。
これが感情的な対立を生み、小さな火種が大きなトラブルに発展する原因になります。
労働トラブルの“芽”はこうして生まれる
私の経験上、労働トラブルの多くは、ささいなコミュニケーション不足や、制度へのちょっとした誤解から生まれます。
「社長はいつも『これくらいやってくれるよな』と言うけど、サービス残業はもう限界…」
「入社したときに聞いていた話と、実際の労働条件が違う気がする…」
こうした従業員の小さな不満が積み重なり、ある日突然、労働基準監督署からの呼び出しや、内容証明郵便という形で表面化するのです。
是正勧告・残業代請求…実際の相談事例から見る危機
実際に私が関わったケースでも、ある日突然、労働基準監督署から「是正勧告」の通知が届き、慌ててご相談に来られたIT企業がありました。
原因は、曖昧な勤怠管理による残業代の未払いです。
結果的に、過去に遡って数百万円の残業代を支払うことになり、会社の資金繰りに大きな影響が出ました。
もし、もっと早くご相談いただけていれば、適切な勤怠管理の方法や、固定残業代制度の正しい導入をご提案できたはずです。
現場のリアルを知っているからこそ、悔しく思う瞬間です。
社労士に相談することで得られる3つの安心
では、事前に社労士に相談すると、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは大きく3つの「安心」をご紹介します。
経営者が本業に集中できる体制づくり
労務管理や社会保険の手続きは、非常に専門的で煩雑です。
これらの業務を専門家である社労士に任せることで、経営者であるあなたは、本来やるべき商品開発や営業活動といった本業に集中できる時間と心の余裕が生まれます。
これは、リソースが限られる中小企業にとって、何より大きなメリットではないでしょうか。
従業員とのトラブル予防・信頼関係の強化
就業規則を整備し、労働条件を明確にすることは、従業員を守るだけでなく、会社自身を守ることにも繋がります。
公平なルールがあることで、従業員は安心して働くことができ、会社への信頼感が高まります。
結果として、従業員の定着率が向上し、採用活動も有利に進められるようになります。
制度対応・助成金申請もスムーズに
法改正への対応や、毎年のように新設される助成金の情報は、自社だけで追いかけるのは大変です。
社労士は、常に最新の情報にアンテナを張っています。
あなたの会社に合った助成金を提案し、複雑な申請手続きをサポートすることも可能です。
「知らなかった」ではもらえない助成金を活用し、経営基盤の強化に繋げた顧問先も数多くいらっしゃいます。
実務家・三浦が見てきた“相談する企業”と“しない企業”の差
実際の現場での変化とは?
私が独立したての頃、ある顧問先のトラブル対応に奔走した経験があります。
制度の知識だけでは解決できない、現場の感情のもつれを目の当たりにし、制度が現場で機能することの重要性を痛感しました。
それ以来、私は「トラブルが起きてから駆けつける」のではなく、「トラブルが起きない土壌を作る」ことを信条としています。
ご相談いただく企業とそうでない企業とでは、数年後に明らかに差が出ます。
それは、単にトラブルがないというだけでなく、職場の雰囲気や従業員の表情、そして何より業績に表れてくるのです。
就業規則を整えただけで生まれた安心感
ある製造業の会社では、社長の想いを込めた就業規則を一緒に作り上げました。
それまでは口約束だったルールを明文化しただけですが、従業員からは「会社の方向性が分かって安心した」「評価の基準が明確になってやる気が出た」という声が上がりました。
社長も「同じ方向を向いてくれる仲間が増えた」と喜んでいました。
トラブル後より“事前の一歩”が圧倒的に有利
これは間違いなく言えることですが、トラブルが起きてから対応するコストは、事前に予防するコストの何倍にもなります。
金銭的なコストはもちろん、経営者や担当者の精神的な負担、失われた信頼関係など、目に見えない損失は計り知れません。
“事前の一歩”が、これほど大きな安心感とメリットを生むのです。
まず何を相談すればいい?社労士活用のファーストステップ
「いざ相談と言っても、何から話せばいいか分からない…」。
ご安心ください。
最初から完璧に準備する必要はありません。
最初にチェックすべき自社のポイント
まずは、あなたの会社が今どんな状況にあるか、セルフチェックしてみましょう。
- □ 従業員を雇う際の「労働条件通知書」をきちんと渡しているか?
- □ 従業員の労働時間を正確に把握できているか?
- □ 残業代の計算方法は正しいか?
- □ 就業規則はあるか?(従業員10名以上の場合)
- □ その就業規則は、今の会社の実態に合っているか?
一つでも「?」が浮かんだら、それが相談のサインです。
「相談してよかった」と感じる瞬間とは
多くの方が「相談してよかった」と感じるのは、「頭の中のモヤモヤが整理されたとき」です。
漠然とした不安や課題を専門家と話すことで、問題点が明確になり、具体的な次の一手が見えてきます。
それだけで、経営者の肩の荷はぐっと軽くなるものです。
顧問契約しなくてもOK?スポット相談の活用法
「いきなり顧問契約はハードルが高い…」と感じる方も多いでしょう。
ご安心ください。
多くの社労士事務所では、就業規則の作成だけ、助成金の申請だけ、といった単発の「スポット相談」にも対応しています。
まずは一度、スポットで相談してみて、社労士との相性を確かめてみるのも良い方法です。
あなたの会社の健康診断を受けるような気持ちで、気軽にドアを叩いてみてください。
まとめ
この記事でお伝えしたかった大切なポイントを、最後にもう一度振り返ります。
- 社労士は「書類屋さん」ではなく、「ヒト」に関する問題解決の専門家である。
- 労働トラブルは、起こってからでは手遅れ。“事前の一歩”が会社を守る。
- 社労士に相談することで、経営者は本業に集中でき、従業員との信頼関係も深まる。
- 顧問契約だけでなく、「スポット相談」から気軽に始めることができる。
社労士は、“何かあったときの専門家”ではありません。
“何も起こさないためのパートナー”です。
経営者も従業員も、誰もが安心して自分の力を発揮できる。
そんな職場づくりの第一歩として、まずは専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。
あなたの会社ではどうでしょう?
まずは先ほどのチェックリストから、ぜひ一度確認してみてください。